PALYNOSURVEY
   層序や年代に関する分析項目

・放射性炭素年代測定
 炭素の同位体の一つで、約5600年の半減期を持つ14Cが、過去に於いても現在と同様な割合で自然界に存在していた、との仮定に基づいて、化石中の14C濃度を測定することによって、年代を測定します。測定は、4万年前ぐらいまでが測定できます。最近は極少量の試料でも測定可能な方法(加速器分析法:AMS法)の普及もあり、遺跡調査や活断層調査をはじめ、広範な分野で利用されています。

・ボーリング調査
 環境調査や遺跡の発掘調査等に伴って深度10m以浅の試料(土壌)採取を目的としたボーリングが行われています。しかし、従来のボーリング機器では、コストが高くなるため、もっと簡単に安く調査を行えるような要望に応えるべく、当社では、少ない作業人員に短時間で行える簡易ボーリングを提案し、様々な現場で実績を上げています。 当社では、手動式のハンドオーガー・シンウォール・トーマスと機械式のパーカッション式サンプラーを扱っています。

・堆積物微細構造形態
 遺跡における人間活動を検討する場合、地形に関する情報は、重要な要素の一つであると考えられます。発掘調査地点の地形発達史を捉えるためには、まず現地にて地層の水平的・垂直的な空間分布や地層中の堆積構造などの記載を行います。そしてさらに情報を補強するため、粒度分析、土壌理化学分析、肉眼で観察しづらい堆積構造を確認するための軟X線写真や土壌薄片の観察を併せて実施し、遺跡の地形発達過程や遺構の形成・埋没過程にっついて調査を行います。

・粘土鉱物分析
 鉱物の同定には、X線回折法による試験が一般的に行われています。粘土鉱物の同定には、塩酸処理や熱処理など種々前処理を施して測定を行います。例えば、膨潤性粘土鉱物であるスメクタイトの検出は、エチレングリーコール処理をして判別します。この試験は定性分析なので、含有量については、検量線を作製して測定する内部標準法を行って求めます。膨潤性粘土鉱物については、陽イオン交換容量試験(CEC)やメチレンブルー試験なども参照して評価資料として利用されています。

・砂粒分析
 土壌の粒度分析や重鉱物分析は、構成する土壌の由来を推定する目的で実施されます。土壌中の重鉱物は、河川の後背地の地質を反映している場合が多いため、土壌の供給河川を知る目的で、河川下流域〜河口部へかけての河川底質堆積物を対象として分析する場合もあります。

・火山灰分析
 いわゆる火山灰(テフラ)とは、溶岩と火山ガス以外の火山噴出物(例えば軽石や細粒火山灰および火砕流など)を指しますが、地層中に保存されたテフラは、天然の時間目盛りであり、地質学や考古学において非常に重要な役割を果たします。火山灰を構成する砕屑物の特徴(軽石・スコリアの色調・発泡度、火山ガラスの形態、鉱物組成、屈折率など)を分析することにより、いつ・どこで噴出した火山灰かを特定します。また、土壌中に拡散した火山灰の検出も行います。

   古環境解析に関する分析項目 

・珪藻分析
植物プランクトンの一種で、単細胞生物です。表面に珪質な殻をもつこと、多量に発生すること、種類ごとに形が違い、様々な環境に適応して住み分けているのが特徴となっています。このため堆積物中に多量に残りやすく、水域の復元に有効です。堆積物がt安定している時は比較的局地的な状況をよく反映し、古環境解析(水域の復元)には有効です。また、陸生珪藻とよばれる比較的乾いた場所を好む種類もあり、遺構構築時の環境推定に役立っています。

・花粉分析
 被子植物の雄性生殖細胞で、実際には、花粉化石以外にもシダ類胞子や、鮮苔類の胞子なども同定対象となっています。花粉化石は、外膜が化学的に安定で分解に強い、多量に作られ散布される、種類ごとに形が異なるなどの特徴をもっています。花粉は本来の目的(子孫を増やす)に使われるのはごくわずかで、大部分が地表に落下し、水中などに堆積します。これらの化石を調べることによって、当時の古植生を知り、古環境を復元します。

・微粒炭分析
 微粒炭とは、250μm以下の炭化物のことを指し、花粉分析のプレパラート内にしばしば観察される。微粒炭は、周囲での燃焼(山火事など自然現象、焼畑などの人為的行為)の規模によって増減すると考えられ、粒径の大きさは燃焼が起こった場所までの距離に反比例すると考えられている。形状から母植物を推定するには至っていないが、周辺における野焼きなどの行為や黒色土の成因などを考える上で、重要視されている。

・植物珪酸体分析
 植物の細胞内に蓄積される珪酸分で、特にイネ科において顕著にみられる。多量に生産される、土壌中で残りやすい、種類によって形態が異なるなどの特徴をもつ。このため、土壌中から植物珪酸体を抽出し、同定を行うことによって、当時のイネ科を中心とした(一部の樹木も判別できる)植生復元にに関して有用な情報を得ることができる。特にイネ栽培の消長に関しても、これまで多くの成果が得られている。花粉化石が残りにくい黒ボク土からも検出されるため、台地上の古植生変遷についての結果をを補間する意味でも有効である。また、燃焼後の灰にも残存するため、灰から母植物を推定し、燃料材に関する情報も得ることができる。

・樹種同定
  木材は、種類によって組織に違いがみられるので、組織切片を作成して同定を行うことにより、種類を知ることができる。水成層中で残りやすいが、炭化によって風成層など乾燥した場所でも残る。同定可能な種類は木部が形成される種類に限られ、分類のレベルは、花粉化石と同じように、属レベルまでのものが多い。自然木の樹種同定からは周辺植生に関する情報が得られるほか、木製品の樹種同定により、当時の用材選択に関する情報を得ることも可能。 

・種実同定(+葉同定)
  種実同定は、花粉化石や木材と比べ細かなレベルまで同定できる場合が多のが特徴。一方、多量に出土しないので、花粉分析等の微化石に比べ定量化は難しい。水成堆積物に残りやすいが、炭化すれば風成層中でも炭化種実として残存する。種実や葉は比較的遺跡近くの植生を反映していることが多く、より局所的な古植生を復元することが可能。また、副葬品や食料貯蔵・残渣として検出されることも多く、生業に直結した情報を得ることができる。

・昆虫同定
 昆虫化石は、低湿地遺跡などで検出されることが多い。昆虫化石は脆く壊れやすいので、現地性を反映しているとされる。種類によって生育環境が異なるため、周辺の古環境解析を行う際に指標になる。また、農作物の害虫や、人糞尿、廃棄物、遺体などに群がる昆虫など、当時の人間生活を知る上で指標となる種類もある。

   遺構に関する分析項目 

・寄生虫卵分析
 トイレ遺構からは、多量の寄生虫卵が検出されることがあり、遺構の検証に役立ちます。また、可食植物の種実や花粉、食糞性昆虫、魚類の骨などが検出されたり、重金属類やリン酸など生物濃縮が起こりやすい無機質の集積、排泄物や動物に由来する脂質の検出など、さまざまな手法を複合することにより、より詳細な情報を得ることができます。

・脂肪酸分析
 遺跡土壌から検出される脂肪酸は、水に溶けないことから、埋納後、土壌中での移動が少ないことが特徴です。また、脂質は経年変化により変質するものの、条件によっては長期間残存することがあります。このような性質を利用して、土壌理化学分析や微細遺物分析などと併用しながら、土坑の性格に関する検討を行います。また、土器付着物など、由来が不明な物質に関して、赤外分光分析、X線分析などと併用しながら、調査を行います。土器付着の油煙などからは、多量の脂質が検出されることがあり、当時の燃料に関する情報が得られることもあります。

・土壌理化学分析
 遺構や遺物に当時埋納されていたものは、微細物分析により、そのものが見つかる場合もありますが、風化により消失していることが大部分です。その痕跡を見つけるために、覆土中のリン酸やカルシウムの量を調べ、対照試料との比較検討もしながら、内容物に関する検討を行います。その他、畑や水田など耕作土に関する調査等にも応用されます。

    遺物に関する分析項目

・微細物分析
 井戸や溝などといった遺構内や土器内の土壌、低湿地遺跡の堆積物には、当時の遺物などが残っていることがあり、遺構や遺物の性格を考える上で重要な情報になる場合があります。この中には、鍛冶滓など顕微鏡レベルでの抽出が必要なものや、通常の水洗では崩れてしまう脆弱な炭化材、炭化種実などもあります。当社ではこれまでの経験から、試料の状態にあった抽出方法を選択し、できるだけ多くの情報を回収できるよう土壌中の微細遺物の抽出を行います。抽出された遺物は種類別に分けられ、それぞれの同定・解析が行われます。

・薄片鑑定
 薄片の顕微鏡観察は、岩石や鉱物の鑑定のために非常に有用な手段です。古典的な手法ですが、今もなお、地質学的な現象やそれにかかわる様々な問題について有用な情報を提供してくれます。分析対象は、一般的な火成岩・変成岩・堆積岩から、変質岩・風化岩・断層岩などの脆弱な岩石、海浜砂・土壌・砂礫・粘土・ローム・火山灰などの未固結堆積物、コンクリート・骨材などの土木用資材、遺跡から出土した石器・石材などがあります。

・X線回折
 結晶にX線を照射すると、結晶格子によって回折される。X線回折分析では、この現象を利用して物質の結晶構造を調べる。岩石学の分野では、顕微鏡観察では同定できないような微細な鉱物が識別できるため、薄片観察の補足的な手段として位置付けられる。一方、考古分野においては、遺物に付着した顔料の分析など、鉱物や無機化合物を定性的に調べる手段として、応用される。

・蛍光X線分析
 蛍光X線分析装置は、地質分野では岩石の成分分析に用いられています。地質分野における全岩化学分析値の利用用途は広く、一般的な岩石のほか、変質岩や、未固結堆積物などへも拡大されています。一方考古学分野では、黒曜石の微量成分分析による産地推定をはじめ、古銭など金属遺物の成分分析、遺物に付着した不明物質の検証など広く用いられています。 

・動物骨・貝類同定
 動物骨・貝殻同定は、土中から出土した骨・貝殻の種類と部位を決定することである。骨や貝殻は、リン酸やカルシウムなどを主成分としており、酸性土壌中では分解・消失しやすいが、低湿地や石灰岩を母材とする土壌では、骨や貝殻が良好に保存されている事例が多い。これら土壌中から出土した動植物の生態学的な特徴、さらにその出現傾向を把握することで、当時の古環境や古生態、あるいは動物利用や交易・流通について検討することができる。

・土器胎土分析
 「胎土」とは、土器、陶磁器、瓦など焼成物の焼成後の材質を指す。胎土の元となる素地は、粘土と混和材から構成され、混和材には砂粒などの無機物や植物繊維などの有機物が用いられる。胎土分析は、これらの胎土が有する特性(例えば焼成温度、粘土の孔隙度・方向性、粘土の鉱物組成、混和材の含有量・粒径組成・鉱物組成・岩石種構成、胎土全体の元素組成など)を明らかにし、その遺物の背後に存在する考古学上の諸課題(例えば産地、技法、遺構の性格、遺跡の動態、地域間の関係など)に対する有意な資料を提供するものである。

・石質鑑定
 出土した石器に使用されている岩石の種類を明らかにし、石器の種類や出土層位、出土遺構などの属性と比較することにより、その石器に関わる製作事情の一端を窺い知ることを目的とする。上記のことは、石器だけでなく、遺構に使用されている礫などについても同様である。石質鑑定の際には、石器に使用されている岩石が、遺跡の周囲に分布するとか遠隔地まで行かなければ入手できないなどの地質学的な背景も把握することが必要である。

・黒曜石産地分析 
 黒曜石は、古くから石器に利用された代表的な岩石の一つで、優美な外観から装飾品にも利用されている。考古遺跡から出土する黒曜石試料を自然科学的手法により原産地を推定する研究は国内外で種々の方法で試みられてきたが、近年は発光分光分析、放射化分析、蛍光X線分析など化学的な手法が主流となっている。当社でも試料の性状、目的に応じて様々な手法を選択し、実施している。

・金属製品化学分析
 金属製品の化学分析については、対象となる遺物と分析の目的により、様々な方法がとられる。一例として、肉眼観察、マクロ組織、顕微鏡組織、ビッカース断面硬度などがある。



・赤外分光分析
 有機物を構成している原子間の振動は、エネルギーを受けることにより、振幅が増大する。この振幅の増大は、その結合の種類によって、波長が異なるので、電磁波が物質を透過際、吸収され、特定の波長の強度が弱まる。赤外線の波長を変えながら物質を透過させた場合、様々な波長において、赤外線の吸収が発生し、いわゆる赤外線吸収スペクトルを得ることができる。既知の物質において、どの波長でどの程度の吸収が起こるかを調べ、その赤外線吸収スペクトルのパターンを定性的に標本化し、これと未知物質の赤外線吸収スペクトルのパターンとを定性的に比較することにより、未知物質の同定をすることができる。

・漆薄片作成観察
  漆塗膜片を樹脂で包埋し、断面方向に切断、研磨(0.03mm)しての薄片を作成する。これを顕微鏡で観察することにより、塗りの回数や状態、顔料など漆への添加物、素地が残っている場合にはその状態などが明らかになる。

・他の項目に関しても逐次作成中
 




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